雪景色

 雪の朝 二の字二の字の 下駄の跡
      田捨女

 丹波の柏原の女流歌人、田捨女の歌を彷彿とさせる雪景色が、今朝、目を覚ますと家の周囲の住宅地に広がっていました。

 昨夕のホテルオークラの帰りにチラついていた雪が、そのまま降り続いていました。講演会を紹介していただいた先輩の好意で垂水まで車で送っていただいたのですが、降りしきる雪で、ちょうど帰宅時間とも重なったこともあったようで、かなり渋滞気味。須磨と塩屋の間は、鉢伏山が迫る海岸線沿いの狭い処にJRの複々線と山陽電車、そして国道2号線がひしめき合っているのですが、ここは片道1車線となる区間もあって、停滞することが多かったです。ちょうどこの時間、並行するJR神戸線では、風で飛来した障害物が架線に絡まったようで、電車もかなり遅れていました。

 大学時代は新潟の豪雪地帯・長岡で過ごしたのですが、冬はチェーンを巻いて、除雪で道路の両側が2メートルぐらいの壁の中を、轍に沿って徐行気味に走った記憶が蘇ります。また家庭教師のアルバイトをしていたのですが、農家で下宿して、更に田んぼが続く道を30分以上走った来迎寺の駅前の家で、帰りは真っ暗な田んぼの中の農道を、真っ白な景色の中を下宿に戻っていました。新潟では雪の時期には、車が途中で止まって、そのままエンジンを掛けっぱなしにしていると排気ガスが車内に入って亡くなる方のニュースが週に何度もあったので、止まったら大変と、慎重に、前にも後にも車が来ないような畦道を、かすかに残った轍を頼りに用水路にタイヤがはまって動かなくなることを避けていました。1階の下宿の部屋は、冬季になると、雪下ろしの雪も相俟って、完全に窓が雪で塞がれていました。

 送っていただいた車を降りた直後の国道2号線、1時間ちょっと降りしきった雪で、すでに雪が積もり始めていました。

垂水駅南ロータリー

 垂水駅の南側のロータリー、人影もなく、雪の上の足跡と轍(わだち)が広がっていました。

タクシー乗り場の行列

 JRの改札を見ると、上りも下りも1時間程度遅れのようでした。そしてタクシー乗り場には長蛇の行列、垂水は坂が多くて、雪が積もると滑りやすいですし、バスも止まっているのかもしれません。

 駅前から、少し歩くと、雪の上の足跡と轍が街頭に浮かび上がっていました。

 雪道を自転車で走り抜ける人がいました。
 長岡に行った最初の年、12月に霙(みぞれ)が雪に変わる頃に、原付バイクで大学の行き帰りをしていたのですが、雪がうっすら積もり始めた頃、ソロリソロリとバイクで走って、交差点で減速をしたかったのですが、滑るのが怖くて、前方に雪が積もっていない処が見えたので、そこでブレーキを踏むと、あいにく其所はマンホールの上で雪が凍って氷になっており、勢いよく転倒してしまいました。雪上なのでケガもなく打撲だけでしたが、当然、その日以降、春までバイクには乗りませんでした。

 駅前から自宅まで坂があって、帰路はこの坂を上ることになります。足跡と自転車が街頭に照らされて続いていました。

 近道をして私道を通ると、ここは舗装もされておらず、雪上に足跡もありませんでした。雪を踏みしめながら自宅に向かいました。
 スマホで撮影しながらでしたので、自宅に戻ると指が悴んで、鍵を開けるのに苦労しました。

 そして今朝、いつもより起床が遅くなって、日の出の時刻を過ぎて、外は既に明るかったです。庭は、少し雪景色で風情があります。

 自宅から出て、少し歩き回ると、庭に植木がある家には、植木に雪が被さって、眺めるだけでは風情がある雪景色です。でも、朝の時間帯にもかかわらず、誰ともすれ違いませんし、少し歩き回っても、この時間帯は車の行き来が多いのですが、まったく車が走る姿もないです。
 ストーブをつけてテレビを見ると、電車は止まっているようで、休校の学校も多いのかもしれませんし、出勤を見合わせるケースも多いのかもしれません。
 食事を済ませて、部屋で使っている湿度・温度計をベランダに出してみました。

 みるみる数字が小さくなって氷点下に。-0.7℃で寒くなって撮影をして部屋に戻りましたが、もっと屋外の気温は低いかもしれません。

itsumi
blog(つれづれに)