駆け抜かれ・・・overtaken

 6月には、朝4時半には辺りは明るく、5時前に日の出。そして元旦の朝の初日の出は7時過ぎ。

 そして今の時期は、その中間で6時前に日の出、今朝の散策の時に、ちょうどオレンジに輝く陽光が東の空に貌を出した瞬間を目にしてレンズを向けました。

 朝の散策では、ジョギングやサイクリングをしている方々に追い抜かれるのは当然ですが、高齢の方々にも時折追い抜かれることがあります。以前は結構、早足で、追い抜かれることはほぼなかったのですが、最近は街中でも、結構追い抜かれることがあります。

 今朝、高齢のご夫婦のような二人連れに追い抜かれて・・・10年ほど前の、ある光景が思い出されました。

  ・・・ あなたを思い出す  
  この店に来るたび
  坂を上って 
  きょうもひとり来てしまった

  山手のドルフィンは
  静かなレストラン
  晴れた午後には
  遠く三浦岬も見える ・・・ 
   作詞:荒井由実、海を見ていた午後

 荒井由実の2枚目のアルバム「MISSLIM」に収められていた「海を見ていた午後」を10年ほど前に聴いた時に、急に、この唄の光景を見たくなって、横浜に向かったことがあります。「山手のドルフィン」ですが、根岸線の山手駅よりも根岸駅が近いようなので、伊勢佐木町にホテルをとって、朝、根岸駅で降りて、坂や階段を上って山手へ向かいました。

 唄の時代から30年以上経って「山手のドルフィン」はそのままですが、経営者が替わったそうで、中に入ると落胆するというネット情報もあり、オープン前の朝でしたので、外見だけで、「晴れた午後には 遠く三浦岬も見える」は確認しませんでした。

 そしてまた坂や階段を降りて駅に向かいました。車だと九十九折りの車道となります。

 階段の部分を下っているときに、後からコツコツと靴音がして、ヒールの高い靴を履いた女性の方に、いとも容易く追い抜かれてしまいました。何となく敗北感のようなものを感じて、今でも、その時の記憶が鮮明に残っています。ゆっくり歩いていたわけでもなく、いとも容易く、それも階段の下りでヒールの高い靴を履いた女性の方に追い抜かれたことに、屈辱感のようなものを感じてしまいました。この階段の部分です。

 昔、好きだった一茶の句に

 又(また)人に
 かけ抜かれけり
 秋の暮れ
  小林一茶、文化句帖捕遺

 overtaken・・・今は追い越されても、あまり気にならなくなりました。そして今朝、高齢の二人連れに追い抜かれた時に、もちろん散策なので、ゆったり歩いていたのですが、「悔しい」とか「屈辱感」ではなくて、追い抜かれたことに対して、そのような思いを持っていた頃を、懐かしむように思い出しました。

 今は、元・赤い鳥、HiFi-set の山本潤子(新居潤子)が唄う「海を見ていた午後」が好きです。ノスタルジーのように遠い過去を偲んでいるような感じで・・・

 10年近く、横浜の街を訪れていませんが、馬車道につながる伊勢佐木町通りは、以前は賑やかでしたが10年前には、ファストフード店やドラッグストア、セコハンの店が目立って、かつての横浜の繁華街から、少し場末の通りのようになっていました。露天には絵描き・・・

 そして朝取りの野菜を売る姿も見掛けて、街の歴史を感じましたが、それから10年ぐらい経って、どうなっているのか・・・

itsumi
blog(つれづれに)