配電~電柱を目にして・・・
街中にある電柱、各家庭や店舗、会社や工場に電気を送っていますが、街中の電柱は「送電」ではなく「配電」をしています。
この電柱は、鉄道の高架橋の近くの電柱で、左右の電線は、JR神戸線の電車の架線で直流1500Vの架線です。そして、手前の電柱は、関西電力の電柱で、線路を跨いで電気を送るために、高架橋の部分は地中ケーブルになって、それが電柱を伝って電柱上部の開閉器を経て、手前側に電気を送っている役割を担っています。
電線が3本でペアになっているのは、三相交流という一般家庭では使わないタイプの交流で、3線を使って電気を送っています。発電所で得られるのが三相交流で、工場等で使う大きなモーターは三相交流で稼働しています。
また街中の電柱は、変電所からの電気を家庭や会社、店舗等に「配る」という意味で「配電」と言われ、街中の電柱は「配電網」を担っています。それに対して発電所からの電気は、電柱ではなくて、一般に鉄塔を使って各地の変電所まで送られて、これを「送電」と言います。ざっくり言えば、鉄塔が「送電」、電柱が「配電」で、街中の電柱は、6600Vの三相交流という電気が「配電」しています、
この電柱は、先ほどの電柱と、電車の高架橋を挟んで反対側のもので、向こうから架空電線で送られてきた電気を、電柱にそって電力ケーブルで地中を通って、先ほどの電柱の方向へ電気を送っています。
この近くは、JR神戸線の高架と、それと並行して山陽電車の高架があって、その間にある電柱です。電柱に沿って電力ケーブルが柱上てっぺんの開閉器へ行き、そしてまた、電力ケーブルで電柱に沿って地中へ戻っています。地中だと保守点検が出来ないので、このように電柱の上に開閉器があるタイプの電柱もときどき見かけます。そして、円柱状のものは柱上トランスで、電圧の変換をする機器です。6600Vの三相交流を100V,200Vの一般家庭のコンセント用の単層交流に変換しています。JR神戸線の高架と、山陽電車の高架の間にも建物があるので、そこに電気を供給するためのもののようです。
柱上トランスでは、3線の6600Vの「三相交流」を、100Vと200Vを3線で送ることが出来る「単相三線式交流」に変換しています。IHやエアコンでは200Vのコンセントで稼働するものもあり、最近ではEVの急速充電用に200Vも必要になっているので、各家庭に「単相三線式交流」が3本の電線で電気を配っているケースも多いです。上の写真では、電柱から手前側に、細めの電線で縦に3本の電線があるのが「単相三線式交流」で、100Vと200Vの電圧で、そのまま家庭や店舗へ行っています。
青空が澄んでいたので、空を見上げて歩いていると電柱に目が留まって、電車の線路を、地中の電力ケーブルにするための電柱だなあ~と気付いてレンズを向けました。繁華街では街中から電柱が徐々に消えて地中ケーブルの配電網が増えていますが、まだまだ郊外の住宅地では電柱は健全です。景観の問題はありますが、普段の保守点検や増設、それにネットの光ファイバー等々の工事も地中よりも架線の方が便利なので、まだまだ配電の電柱は健全だと思います。
電柱を見上げて、徒然なるままに・・