元町アラカルト ~ 元町散策 3

 6月5日の元町散策の3回目で、元町の街のアラカルトです。

 神戸の繁華街・三ノ宮はフラワーロードという市役所の前の大通り近辺、それにフラワーロードの西側の三ノ宮センター街周辺が中核になり、古くから神戸の港町・元町は鯉川筋(メリケンロード)周辺や元町商店街の東側や栄町通り周辺が中核になっているように思います。

 旧居留地のように、元町エリアと三ノ宮エリアを跨っている部分もあり、なかなか明確に元町と三ノ宮の境界線があるわけではないですが、強いていえば、トアロードという南北の通りが境目になるのかもしれません。大丸神戸店は元町、神戸朝日ホールは三ノ宮、そして三ノ宮センター街も西端は鯉川筋ですが、トアロードで段違いのようになって、大きく分かれています。また北の端になる旧トーア(東亜)ホテルがあったと言われる神戸俱楽部の辺りも、山本通3丁目の交差点を境に、西の道路が「東亜筋」、東の道路が異人館通り(山本通り)、そして北の道路が「北野通り」と、境目になっています。

 旧メリケン波止場から北に続く南北の通り「メリケンロード」(鯉川筋)に対して、旧中突堤から北に続く南北の通りは「タワーロード」と言われています。「タワーロード」を境に東側が旧・神戸村で、「タワーロード」の西側が旧・二ツ茶屋村になります。なお「タワーロード」の西側には走水村もあり、明治元年に神戸村と二ツ茶屋村、走水村の3村が合併して神戸町が発足しています。

 そして栄町通り・・・東は生田川、西は鯉川、南は海岸、北は西国街道に囲まれ区域を外国人居留地に指定されましたが、対象は欧米だったようで、清国(現中国)に方々は、外国人居留地の周辺に居住することになって、栄町通りと旧西国街道(現元町商店街)の間に主に集まり、やがて「南京町」と呼ばれて、それが現在の神戸中華街になります。

 旧西国街道の元町商店街が、道幅が4~5m程度だったのに対して栄町通りは道幅が十数メートルで敷設されたために明治末期に市電は栄町通りを通ることになり、大正期以降は金融街として栄え、現在も銀行や保険会社が多いです。現在は栄町通りの地下を、地下鉄海岸線が走って、タワーロードとの交差点には「みなと元町駅」があります。

  元町商店街、東は鯉川筋(メリケンロード)から、西は宇治川筋(ハーバーロード)までの旧西国街道沿いのアーケード商店街です。東端はスクランブル交差点越しに大丸神戸店があり、そして西端には、かつては三越神戸店があり、東京・銀座、そして大阪・心斎橋などと共に、明治初期から老舗が並ぶ商店街の一つです。今は三ノ宮センター街に賑やかさが移っていますが、元町商店街には古くからの神戸の店が並んでいます。

 海岸から「タワーロード」を北に進むと、栄町通り、元町商店街、そしてJRの高架があり、高架下には「高架下商店街」が、神戸駅から元町駅まで続いています。「モトコー」と呼ばれ、発祥は太平洋戦後の闇市のようです。

 阪神淡路大震災以降、耐震工事が進み、旧来のバッタ屋のような店がかなり少なくなり、かなりリニューアルされています。以前は神戸港に入った外国船の船員が、高架下商店街で、中古の家電を買うことが多かったそうで、バッタ屋のような中古を扱う店が結構たくさんあった記憶があります。

 JR高架橋の北側は少し高台になっていますが、タワーロードの北側は花隈城があった城址があります。

 この辺りは、走水村の北に位置する花熊村となり、八部(やたべ)郡花熊村でした。花隈城は織田信長が命じて作らせた城のようですが、和田惟政に摂津を任せた1568年の築城か、それとも西国の利氏の警戒用に荒木村重に命じて1574年に築城したという説があるようです。

 荒木村重が織田信長に対して反旗を翻した1578年の有岡城(伊丹城)の戦いで、花隈城は荒木村重の支城となっていたのが、池田輝政(後の播磨国大名・姫路城城主)の父の池田恒興に攻められ落城しています。織田信長より池田恒興は有岡城を与えられ、そして花隈城を廃城にして新たに兵庫城を築いていますので、花隈城は長くて10年ほどの歴史しかなかったことになります。

 石垣だけが残り、今は花隈公園となり、地下は市営の駐車場となっています。

 花隈城址の花隈公園から眺めたJRの高架です。高架の向こう側のビル群は、江戸時代には西国街道沿いに神戸村があった場所で、神戸港開港当初、雑居地となって、居留地向けに舶来品を扱う店が並んだり、その南に南京町という中華街が出来た場所になります。写真奥に高架の元町駅が見え、その北側に、元々旧・兵庫町の兵庫城址、そして旧・坂本村の現・神戸地裁の場所にあった兵庫県庁舎が明治6年に移転して、明治32年の第4代庁舎は兵庫県公館として残っています。

 ランチは、とんかつの 松のや でとんかつ定食でした。

itsumi
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