胡椒

 しばらく前に、胡椒が世界的に品不足で、手に入らなくなるというような記事を見掛けた気がして、時々スーパで思い出して胡椒を買っていました。今日もスーパーで思い出して胡椒を買ったのですが、その後胡椒が世界的に品不足というニュースを見た記憶がなく、改めてネットで検索すると、ちょっと勘違いをしていたようです。

 どうも10年ぐらい前に一時世界的に胡椒が品不足になったことがあったようで、その後作付けが増えて、こんどは供給が過剰気味となって、胡椒の相場がかなり下がったようで、世界的な生産国のベトナムで農家が作付けを控えた結果、供給量が減って、価格が上昇しているようです。特に心配することはなかったようです。胡椒は風味を楽しむものなので、賞味期限が過ぎて風味が薄れては意味がないです。賞味期限をみると2年は大丈夫のようで、しばらくは胡椒を気にせず風味を楽しめます。

 胡椒は古代からインド地方の重要な輸出品で、近世以前のヨーロッパでは、古くなった肉の匂いを隠すためや、胡椒の防腐作用のために珍重され、 1世紀のローマにおいて、コショウが同重量の金や銀と交換されたようで、古代にはかなり貴重品だったようです。中世になっても、かなり輸入量が増えてからも、かなり価値があるようなものですが、今は増産して胡椒相場が低下するぐらい供給過剰のようです。

 江戸時代の料理のレシピ本「名飯部類」には、ご飯に胡椒と出し汁を掛けた「胡椒飯」が載っています。胡椒というと明治以降に西洋料理と共に日本に紹介されたスパイスだと思っていたのですが、江戸時代には胡椒が口中清涼剤として歯磨き売りや生薬屋で普通に売られていたそうです。古典落語に「くしゃみ講釈」という噺があるので、江戸の町の庶民にも普及していたようです。

itsumi
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