結露

 未明から風が強く、立春の翌日となる今朝は、寒い朝でした。

 朝食後、室温が18度ぐらいで、室内の湿度が45%ぐらいですが、ガラス戸には結露が・・・。寒波襲来で、おそらく屋外の気温は3~4℃かそれ以下で、外気で冷えたガラス戸付近で室内の湿気が、今朝の冷え込みで室温が低下して、それに伴って空気中の水分が飽和して凝縮して、ガラス戸の表面に結露しているようです。

 ガラス戸越しの陽光は、それでも12月の中旬頃の寒波の時と比べると眩しく感じるのは、太陽の高度が高くなって陽射し自体は日毎に強くなっているのを、ガラス戸の中では感じます。ガラス戸の外は冷たい風が吹き抜けて体感温度が低いようですが、ガラス戸の中は、暖房と加湿で、暦の上の春です。

 アルミサッシのガラス戸の結露をサッと拭うと、ガラス戸越しに眺める青空が綺麗で、陽光も眩しいです。

 硝子戸の中から外を見渡すと、霜除をした芭蕉だの、赤い実の結った梅もどきの枝だの、無遠慮に直立した電信柱だのがすぐ眼に着くが、その他にこれと云って数え立てるほどのものはほとんど視線に入って来こない。書斎にいる私の眼界は極めて単調でそうしてまた極めて狭いのである。
   「硝子戸の中」の冒頭、夏目漱石

 大正4年の1月13日から2月23日まで朝日新聞に掲載された39回の随筆の冒頭ですので、小寒の頃の様子だと思います。110年前の1915年ですので、一般家庭の和室の暖房は火鉢ぐらい、加湿をする発想もなかった時代ですので、当時のガラス戸の中は、屋外よりマシだとは思いますが、それでも寒くて加湿もしていないので、漱石が見たガラス戸越しの景色には、ガラス戸の結露も水滴もなかったのだろうなあ~と思いながら、久し振りに漱石の「硝子戸の中」を目にしました。

itsumi
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