生と死のアイロニー
十代の頃に漱石を読みふけっていたので「ロマンチックアイロニー」という言葉には特別の思い入れがあります。
私も聖書にアイロニーを感じます。というよりアイロニーそのものかなあと思うこともあります。
ある先生が、三浦綾子の「氷点」を「生と死のアイロニー」という言葉で表していました。「なるほど」と思いました。そして聖書というか、私にとってのキリスト教信仰はまさに「生と死のアイロニー」だなあと感じたことがあります。そのとき「ロマンチックアイロニー」という言葉が頭をよぎりました。
聖書にアイロニーを感じ、そのアイロニーにロマンを感じるという意味で、聖書は「ロマンチックアイロニー」と呼ぶにふさわしいなあと思います。そしてそのロマンは、リアルに裏付けられた「生と死」を巡ってのロマンなんです、私にとって・・・。
Mar22,1997